――冷蔵と冷凍、どちらが良いの?
羊肉は、日本で流通するおよそ99%が輸入品です。 そのため、かつては**ほぼ全量がフローズン(冷凍)**で輸入されていました。
しかし近年、輸送技術や温度管理技術の進歩により、
チルド(冷蔵)で輸入される羊肉が急速に増えてきています。
特にオーストラリア産では、
2019年に6,000トン以上の冷蔵ラム肉が日本向けに輸出されました。
なぜチルドラムが増えているのか?
理由はいくつかあります。
- スーパーでの羊肉の取り扱いが増えた
- 飲食店でチルドラムを使う店が増えた
- 「チルドしか扱わない」というこだわりの店が出てきた
こうした流れは2015年頃から始まり、 現在も増加傾向が続いています。
最近よく見かける 「生ラム」 という表現も、基本的には
冷蔵(チルド)で輸入されたラム肉を使っている、という意味になります。
冷蔵船で2週間。これは“熟成期間”
オーストラリアから日本までは、 冷蔵船でおよそ2週間。
「2週間も冷蔵したら品質が落ちるのでは?」 と思われがちですが、実はこの期間は
肉がゆっくり熟成するのに適した時間でもあります。
つまり、日本で流通しているチルドラムの多くは、 すでに熟成を経た状態の羊肉なのです。
※ チルドで購入し、途中で凍らせる「チルフロ」と業界で呼ばれている物もありますが特殊例なので今回は割愛。
チルド=絶対に美味しい、ではない
ここでよく出てくるのが、 「冷蔵のほうが冷凍より絶対に美味しい」
という考え方です。特に日本人は冷蔵信仰が強い気がします。
確かに、
- 細胞が壊れにくい
- ドリップが出にくい
といった理由から、 きちんと扱える環境であればチルドは非常に魅力的です。
ただし、 肉屋さんの中には
「正しく解凍された冷凍肉と、冷蔵肉の違いはほとんど分からない」 と言う人もいるほど。つまり、
冷凍だから劣る、とは一概に言えません。
チルドが増えて、羊嫌いが増えた?
ある牧場関係者が、こんな話をしてくれました。
「チルドが増えてから、逆に羊が苦手になった人もいる」
理由はシンプルで、
チルドは生肉なので、保存や管理がとてもシビアだからです。
温度管理や扱いを誤ると、
- 雑菌が増えやすい
- 脂肪が酸化しやすい
- 羊特有のにおいが出やすい
といった問題がすぐに起こります。
これは羊肉が悪いのではなく、 扱う側の問題です。
チルドとフローズン、それぞれの特徴
チルド(冷蔵)
長所
- 鮮度感がある
- 肉質が良い
- 風味を活かしやすい
短所
- 保存期間が短い
- 温度管理が難しい
フローズン(冷凍)
長所
- 保存期間が長い
- 品質が安定している
- 流通・管理がしやすい
短所
- 解凍方法によっては味が落ちる
大切なのは「どちらが良いか」ではない
誤解してほしくないのは、 「冷凍はダメ」という話ではないということ。
チルドが増えているのは、
用途や提供方法に合っているからであって、
フローズンのラム肉も、
正しく扱えばチルドと遜色ない美味しさがあります。
いま、日本に増えているチルドラム
オーストラリアから輸出される羊肉のうち、
約36%が一度も冷凍されないチルドラム。
質の高いオージー・チルドラムが、
日本にどんどん入ってきています。
チルドか、フローズンか。
大切なのはラベルではなく、
どう扱われ、どう提供されているか。
選択肢が増えた今こそ、
羊肉をより自由に楽しめる時代になってきました。
どちらも旨いので、ちょっとしたことを気にするのではなく、おおらかに羊をかじって下さい。