ふと浮かんだのが、「人類が最初に記録したラム肉料理とは何か?」という疑問でした。文献をたどってみると、人類最古の羊料理は「直火焼き」であったと考えられています。焼け焦げた羊の骨の出土が、その証拠とされています。そしてその次は串焼きだったのでは??と個人的に考えます。火があり、枝があれば「刺して上手に焼く」と考えたのではないでしょうか??
では、文字として残された最古のラム肉レシピは何か。
それは、メソポタミア南部ラガシュから出土した、紀元前17世紀の粘土板に記された楔形文字のレシピです。
そこに書かれていたのは―― 「ラム肉のブイヨンスープ」。
ラム肉に細かく砕いた穀物を加え、玉ねぎ、クミン、コリアンダー、ポロ葱、にんにくなどとともにじっくり煮込む料理です。現代で言えばシチューに近い仕立てで、穀物はとろみづけの役割を担っていたとされています。今でも通用するレシピでアイリッシュシチューなどレシピが近いとの事でした。
現在のメソポタミア南部(現イラク)にも、ほぼ同様の料理が存在するといいます。
ラム肉の代表的な調理法である「煮込む」という手法は、約3700年前にはすでに確立していたのです。
アイリッシュスープを食べるとき、紀元前17世紀に食べられていたであろう羊料理に思いを馳せてみるのも面白いかもしれません。
そのほかの羊の古いレシピ
1世紀頃の古代ローマでは、料理人アピキウスの名で伝わる書物に、丸ごと1章がラム料理に割かれています。さすが美食家のローマ人。
その中の「子羊のロースト」を例に挙げると、材料には子羊またはヤギと記されており、当時は両者が明確に区別されていなかったことがうかがえます。
調理法は、肉に油と胡椒をなじませ、細かい塩を振り、大量のコリアンダーシードをまぶして焼くというもの。
スパイスの使い方は現代にも通じるものがあり、羊の丸焼きが2000年前からごちそうであったことが分かります。
ただし、アピキウスは大富豪として知られており、これらの料理は当時の一般的な食卓ではなく、一部の富裕層のためのものであったと考えられます。
また、中国では1716年生まれの袁枚(詩人・美食家)が1792年に著した『随園食単』に、羊料理の数々が記録されています。
掲載されているのは、
「羊頭(羊の頭の煮物)」
「羊蹄(羊の足の煮物)」
「羊羹(羊の餡かけ汁)」
「羊肚羹(羊の胃の汁物)」
「炒羊肉糸(細切り羊の炒め煮)」
「焼羊肉(羊の焼き物)」
などです。
その中から一例を挙げると、「羊羹(羊の餡かけ汁)」は、よく煮込んだ羊肉をサイコロ状に切り、鶏出汁で煮て、椎茸や筍の細切りを加え、でんぷんでとろみをつけるという料理です。
あっさりとした味わいを想像させる一品で、今でも通用するのでは??と考えているのでだれかぜひ作ってみていただきたいですね。