正直に言うと、最近よく考えることがあります。
昔は、羊肉が食べられるお店自体が少なく、「羊がある」というだけで十分に価値がありました。羊肉を出している、という事実そのものが集客力になっていた時代です。
でも、それはもう過去の話だと思っています。
それに胡坐をかいていた店も多かった気もしています。
この数年で羊肉を扱う店は確実に増えました。ジンギスカンもラム串も、今や都市部では特別な存在ではありません。選択肢のひとつになった。これは間違いなく前進です。
一方で、「羊推し一本」でやってきた店が、気づけばなくなっているケースも出てきました。
状況的に、「羊を!!!」と声を上げるだけでは厳しい時代になっています。羊+何か、がなければ続かない。
たとえば、
羊料理が圧倒的においしい。
羊を扱う店だけど日本酒がすごい。
ワインのセレクトが抜群。
空間が面白い。
シェフのストーリーが強い。
羊に、もう一段の武器が必要になってきている。
これは、英語だけできても通用しない時代に少し似ています。英語+専門性が必要なように、羊+独自性が求められている。
ただ、これは悪い話ではありません。
それだけ羊肉が珍しい存在ではなくなった、ということでもあります。ニッチな食材から、きちんと市場の中で戦う食材へと変わった証拠です。
羊は強い。でも、羊だけでは強くない。
現場を見ていると、今はそんなフェーズに入っていると感じています。