同じ羊を喰らう第四回目 食べて納得、記憶に刻まれるスパイスの香り

(夫、以下O)羊肉大好き夫婦の連載4回目です。前回のカレーの話が一部で評判よかったみたいで気をよくしてます(笑)。
(妻、以下T)日ごろの研究?の成果が発揮できてよかったね。「今日は羊が食べたいなあ」っていう気分の時、1人でも気軽に食べられるカレーは羊好きの心強い味方だっていうことが改めてよくわかった。
(O)今後も、ますます多様化するカレー情報を皆さんと共有していきたいと思ってます!
(T)いや、だから、ここは羊が好きな人のコラムだから…! うーん、でも、どうして羊肉料理の話がいつの間にかカレーの話に展開して行っちゃうんだろう???って考えると、そこには「スパイス」の話があるんだよね。羊肉とスパイスの相性の良さは、羊肉料理を語る時に絶対に外せないポイントの一つ!
(O)そうそう、そして今の日本で、一番ポピュラーなスパイスを使った料理と言えば、やっぱりカレーってことになるんじゃないかな。だからついカレーの話をしたくなっちゃうんだよ(笑)。もっとも、カレーの場合は羊肉以外の材料でもスパイスは使われているけどね…
(T)そうだよ。だから今回はカレー以外の羊肉料理の話ね。そもそも、スパイスっていうと「辛いもの」ってイメージする人も多いかもしれないけど、それだけじゃないよね。お料理においしそうな色や香りをつける食材全般、和食だと「薬味」に近いと考えるとわかりやすいかな。例えば、あっさりしたお豆腐に生姜やネギの香りを添えて、こってりしたうなぎやマグロのお刺身に山椒やワサビを効かせて…なんて、多分誰でも食べたことあるはず。「スパイス」って言うと普段あんまり食べてないなって思う人も、意外と身近なものなんですよ。だけど、羊肉料理を食べ始めると、このスパイス使いの世界が一気に広がっていくよね!
(O)そうだね、我々が目指す、味覚のフィールドが広がる話だ(笑)。羊肉料理とスパイスの話って言って真っ先に浮かぶのは、クミンと唐辛子まみれの羊肉串だよね! 羊齧協会の心の友!!!(←注:この発言は協会に無許可です)


▲ただ羊肉を串に刺して焼いただけなのに、どうしてこんなにおいしいのか。赤身!脂身!クミン!唐辛子! うおー、今すぐにでも食べたい!

(T)羊肉串が目の前に運ばれてくると、「さあ、宴会が始まるぞ~」ってナゾのアドレナリンが出てくる(笑)。下戸なのに(笑)。いつ食べても何度食べてもたまらないおいしさ! 羊肉の赤身部分と脂身部分の絶妙なバランス、カリッと焼いた香ばしさに、塩、唐辛子、クミンのシンプルな味つけ。最初にこの組み合わせを発見した人マジで天才(笑)。
(O)協会のイベントでジンギスカンやった時もさ、ちゃんとタレが何種類も用意されてるのに、絶対誰かが持ってきてるんだよね、クミン塩(笑)。で、気がつくと最後はみんなクミン塩で食べてるんだよ。どんだけ好きなんだっていう…。麻薬なのか(笑)!?
(T)確かに中毒性あるかも…。コストコで缶入りクミンを大量買いしちゃったもん。そうそう、11月の羊フェスタで販売する(※予約制のため、今回のフェスタでの販売分はすでに売り切れています)中華系ミックススパイス「羊名人」も、テレビでおなじみの井桁良樹シェフ監修で、クミンや唐辛子たっぷりのエキゾチックなおいしさだよね。お家で作る羊肉炒めが、急にグレードアップしちゃうマジックスパイス! あれね、実はワカメを炒めてもおいしいんだよ~。
(O)麻布十番にある井桁シェフのお店、「老四川 瓢香」で食べた辛~い羊肉料理を思い出すよ。井桁さんのとても穏やかな笑顔と裏腹に、赤い唐辛子と赤黒い唐辛子(!)がふんだんに使われた、まさにシビレル味でした。思い出しただけで汗が出てくる…。


▲赤い唐辛子と赤黒い唐辛子がふんだんに使われた羊肉料理。このイベントの時、容赦なく現地並みの辛さで提供できたのが、井桁シェフのニコニコの理由だったらしい(笑)

(T)そんな話すると、辛いもの苦手な人が読んでくれなくなっちゃうよ(笑)。辛くないスパイス料理?って思う人にこそ、ぜひ色々食べてみてほしいと思うんだよね。世界には、色んな味があるなあって、我々も羊肉料理を通じて日々驚いていますよ。例えば、同じ中華でも、雲南など南の地域の料理を食べさせてくれる「南方中華料理 南三」。あっという間に予約が取れない人気店になってしまって、ご紹介してもすぐに行けるとは限らないわけですが…(涙) ニラとミントのソースで食べる羊肉は、さっぱりさわやかな香りが口の中に広がる、たまらない一品。


▲ニラとミントがどさーーーーーっと乗った羊肉。見た目と材料にビックリするけど、食べてみるとおいしくてお腹から納得できるスパイス使い。これこそまさに「腑に落ちる」味!

(O)ニラとミント!?それに羊!?って思うけど、食べて納得なんだよ。ニラとミントの香りがまずやってきて、羊肉を噛みしめると肉の味と香りがさらに広がって、スーッとするけど複雑なおいしさ。緑色の中で目立たないけど、粒ごと入って時々コリッと歯に当たる山椒もすっごいいいアクセントになってるよね。
(T)ミントって、日本ではデザートの飾りとか、モヒートくらいのイメージが多いかもしれないけど、肉料理に付け合せるのは実は結構よくあるパターン。インド料理でおなじみのグリル料理、タンドールチキンなんかにもミントたっぷりのソースがついてくることが多いし。
(O)あれも、ミントとヨーグルトのソースでさっぱり肉を食べる工夫っていうところは共通してるのかな。羊肉はいろんなスパイスと合わせても、お互いに個性を引き出しあうよね。何ていうか、スパイスの香りを思い出すと、どんな羊肉料理を食べたか思い出せる感じ。色々食べてるけど、あの香り忘れてないぞ!って(笑)。
(T)思い出すよね、シリアで食べた羊。炭火で焼いて、たっぷりのミントや香菜が添えられて出てきたよね。
(O)ああ食べたねー。店先で豪快に焼いてくれたっけ。あれが、我々の美味なる羊肉料理の原体験だからね………いつの日か、もう一度現地で食べられる日が来ることを願ってるよ………また食べに行きたいよね………(しばし思い出の味に浸る)
(T)シリアに行かれないのは、予約が取れないとかじゃないもんね(涙)。しばらくは、平和な日本でありがたく世界の美味を楽しませてもらうことにしましょう。興味深いことに、シリアをはじめとする中東から、少し移動してイランや中央アジア諸国の羊肉料理になると、また違ったスパイスが使われてるよね。羊肉料理はじめ、サラダにもディルがいっぱい使われてる。あれを食べると、お、違う国の食べ物だなあって思うんだよね。


▲こちらは、中央アジアにあるキルギス風の羊串。中国スタイルより肉が大ぶりに切ってある。玉ねぎとディルが乗って、それだけでもおいしいけど酢をかけるのもオススメの食べ方だそう。

(O)やっぱり地域によって栽培しやすい植物が違うって、当たり前のことだけど、そこの料理を実際に食べてみるとよくわかるよね。ディルも、もちろんクミンともミントとも違うすごく特徴のある香りだけど、やっぱり羊に合うなあって食べて納得しちゃう。その土地その土地で育てやすい植物が、その土地の羊肉料理のスパイスとしてたくさん料理に使われてるんだね。
(T)昔はさ、そこにシルクロードを通ってやってきた商人とかがいてさ、きっとそこの人が食べてる見知らぬ料理がおいしそうに見えたんだよ(笑)。好奇心が強い人がいて。それで、食べてみたらおいしかったんだよ。あんまりおいしいから、自分の故郷に絹だけじゃなくてスパイスの種も持って帰ったんじゃないかなあ。そうやって、今では世界中にスパイスが広がってるんだよ。
(O)我々のご先祖様はそういう人だろうね。人が食べてるものがおいしそうに見えてしょうがなくって、つい手を出しちゃうような(笑)。代々、食べることばっかり考えてるんだ(笑)。

【追記】
今回出てきたお店の情報です。
(登場順)
味坊

https://tabelog.com/tokyo/A1310/A131002/13009143/

老四川 瓢香

http://www.piao-xiang.com/

南方中華料理 南三

https://www.facebook.com/tokyoyeshi/

Silkroad Bakery SHER
(こちらでは、普段はキルギスのパンや雑貨を販売されています。コラムに掲載したお料理はイベント開催時のもので、いつも食べられるものではないことをお断りしておきます)

https://www.facebook.com/novvoyxona/

【プロフィール】
まつけん&まつきょん
羊齧協会に参加して3年の食いしん坊夫婦。海外旅行でおいしい羊料理に開眼し、東京でも食べたいと思って「東京ラムストーリー」を購入、羊齧協会に出会う。
二人とも下戸ながら、グルメ(美食家)ではなくもっぱらグルマン(大食家)として協会活動に寄与している(つもり)。
羊料理に限らず、おいしいお店情報いつも募集中です(笑)。

うまいける勝沼

新羊社通信 編集部員

蒲田にある「うまいける」という羊串居酒屋が大好き!と、羊齧協会で叫びまくっていたら、いつのまにか名前が「うまいける」に。
3歳のころからジンギスカンを食すという、羊肉の英才教育を受けたスペシャリスト。

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  2. 2021年 7月 01日
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  3. 2021年 8月 07日
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  4. 2021年 9月 24日
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