韓国羊肉現状視察その2

はじめての韓国旅行ということで、感想やどこ行った!何食べた!とか書きたいのですが
、旅行記ではないので、分析をつらつらと載せていきたいと考えます。
こちら、販売会社のマーケティング部の分析、地元在住の日本の方の分析、地元の人々の
分析など、色々な方の分析に、日本での事前情報や、これまで集めた知識などをあわせた
ものになります。あくまで私見ということで読んでいただければと。
主に、韓国で羊肉が定着しつつある原因は下記の3つにわけられます。1と2が先行して
進んで下地を作り、3で劇的に伸びた形となります。

▲網焼きのラムチョップを焼いてカットして提供する。店内は若いカップルが多い。

 

1,牛や鳥や豚などの既存の肉に対するマンネリ化が新しい食材として羊に注目させた。

韓国料理の中にはもともと羊肉はありません。また、食べる文化もなく、羊の独特の香り
は基本的に韓国人は苦手だそうです。しかし、素材の固定による料理のマンネリ化や、
食に対する積極性が若い人を中心に起こったことにより、羊肉が新しい肉として
徐々に注目を集めていきます。
もともと食肉文化が根づいていた韓国では肉の料理方法や食べ方も伝統的にたくさんあり
ます。それらを巻き込む形で徐々に羊肉は広まって行きました。
また、今までは価格の面からマトンが多く食べられていましたが、それがラムに切り替わ
っていったこと、そして、輸送技術の進化などで肉の質が更に上がり、海外から業者が買
う量が増えたので更に肉が安くていいものが入ってくるようになり・・・・との、正のス
パイラルが起こったことも原因の一つではないかと考えられています。
※日本と違う所は、日本はチルドを重視しますが、
韓国はフローズンを重視するところかなと。
それに伴い、以前は羊肉は「中国人が食べるもの」というイメージから
「外食時にみんなが普通に食べるもの」イメージへと変わって行ったそうです。

2,在韓中国人の増加、中国人の富裕層化。
1で「羊は中国人が食べるもの」のイメージが有ると書きましたが、そのイメージの元、
中国の方がどんどん増えていったことも羊の消費量のUPにつながっています。そして、そ
れだけではなく、中国の方たちの富裕層化がそれの追い風となります。富裕層化は外食の
機会を大いに増やします。そこで、中国人が中国人向けにお店を開くのですが、気楽な串
の店から、本格的な中華の店まで、それは様々。そして、お店が増えて魅力的になると、
中国人以外の人たちも羊に触れる機会が増え、外食時の選択に羊肉が入る・・・・・この
ような動きが起こりました。
また、それだけではなく、中国旅行の人気が韓国内での中華料理店への韓国人の送客の根
拠となっております。2017年に「行きた都市」の伸び率で1位青島、2位西安と言うデータ
もそれを裏付けるものかと思います。
それと、中国の朝鮮族の方が多く韓国には住んでることも上げられます。朝鮮族とは中国
国内の韓国語(朝鮮語)を話す民族で、○万人おり、言語が通じることから韓国内に多く
住んでいます。また、羊肉を串焼きで食べる料理も朝鮮族料理には多く、朝鮮族が経営す
る羊の串焼きは北京などの大都市でもよく見かけます。
これら、上記の「羊肉に触れ食べる環境が徐々に整った」事が基本にありつつ、
その上で大きな変化が訪れます。それが「なんで青島ビールと視察に行ってんだよ??」
の答えでもあるのです。

▲この、串焼きの羊が昔から在韓中国人の間で食べられていたものなります。

3,2015年に「羊肉を食べるときは青島ビール」というフレーズが流行る。
これは、行くまで全くわからなかったのですが、2015年に国民的なバラエティ番組のコン
トで、というタレントが、下手な中国語で「青島ビールと羊肉串」というネタを披露した
ところ爆発的にヒットし、今まで、「中華料理=羊肉=青島ビール」という古いイメージ
が、
新しいイメージに刷新されたそうです。その機会をうまく利用し、韓国の青島ビールの販
売会社が、そのタレントと契約を結び、PRに活用し、更に広まったとのこと。
そして、ただ「フレーズが流行る」だけですと、それだけの話しですが、1,2で説明し
たように、羊肉に対する需要に答えられる下地があったことが大きなポイントだそうです

このように、様々な要素が混ざりあい、青島ビールと共に、羊肉が2015年より急速に普及
したとのことでした。

・そして、この流れは一時的なものなのか否か?
今回は、青島ビールと羊と言う切り口での視察でして、青島ビールの部分もすごい面白い
ので、語りたいのですが、それは次の機会に譲ります。しかし、輸入ビールの市場で、ア
サヒと青島がTOP争いをしていること。輸入ビールは家でのむ。と言う日本とはちょっと
違う輸入ビールの立ち位置なので、コンビニやスーパーで輸入ビールのコーナーがものす
ごく充実していることなど、こちら側も、また、面白いなと。
さて、話を戻して、「これは、一時的なものなのか?」に移ります。
日本と違う所で驚いたのが、「スーパーなどで羊肉は小売されていない」というところで
しょうか??大手から小規模までスーパーを確認しましたが、どこも羊肉は置いていませ
んでした。

▲北海道と呼ばれるジンギスカン。上に石をおいて肉を保温するスタイル。トルティーヤ
に巻き、チーズベースのソースを付ける。

完全なる「外で食べる肉」として、羊の位置づけは決まっているようです。もともと、韓
国料理は羊を食べる週刊が一切なく、日本のジンギスカンのような取っ掛かりがなかった
ことが、一因と考えられます。
そして、韓国の外食はブームに合わせて大量出店し、ブームが去ると別業態がそれを上書

きするように出店する場合が多いこと。これらを勘案すると、まだ3年なので、羊肉文化
が韓国に根づいたかどうかの判断をするのは早急かなと思います。
しかし、以前あった中国系の羊串のお店だけじゃなく、ジンギスカンのお店が増えたり、羊肉を専門に扱う店が増えたり、と、多様化が進んでいることと、外食だけで、輸入量が日本並みに増えたことなどを考えると、ある程度は固定化するのではと考えています。
少なくとも、殆ど食べない状態にはもう戻らないとは思います。

お隣の韓国の羊肉事情いかがだったでしょうか??
全く羊肉食の文化がないところに、生まれた文化なので、非常に面白いケースだと思いま
す。日本的視点で見ると、実はいいことばかりではなく、世界中で羊肉は不足しており、
大きな消費地ができると、ますます羊の価格が上がってしまう・・・・と言う事も。
個人的には、やや複雑ですが、今後も注目していきたいと思っております。

 

著者・菊池一弘
羊齧協会主席。羊肉を常食する岩手県遠野市出身の父の影響で、羊肉料理に親し
んで育つ。
北京留学中に現地の味に触れ、その魅力に開眼し羊好きの消費者団体「羊齧協会」
を結成。
本業は、イベントの開催・運営、場作りのプロとしてのアドバイザー業務などに携わっ
ている。
最近は四川フェスの運営団体麻辣連盟の幹事長も兼務。

 

うまいける勝沼

新羊社通信 編集部員

蒲田にある「うまいける」という羊串居酒屋が大好き!と、羊齧協会で叫びまくっていたら、いつのまにか名前が「うまいける」に。
3歳のころからジンギスカンを食すという、羊肉の英才教育を受けたスペシャリスト。

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