第四次ブームと文化としての定着について

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第四次ブームと文化としての定着について


第一次ブームから第四次ブームまで説明しました。ブームは一過性の物ですので、ここでは、「じゃあ、四次の次は五次??」的なところにもお答えしておこうかと思います。

個人的に今回の第四次は一過性ではなく、文化として固定するブームだと感じています。このまま、羊肉はたまに大きなトピックスもありつつ、消費量が爆増することもなく、皆の晴れの日の肉として、普通の物になっていくと感じています。まだ、時間はかかるでしょうが、その芽ははっきり出てきています。

さて、何を持って文化として固定化しはじめたか? というと「家庭に入り込む」「素材として抵抗がなくなる」ということではないでしょうか。ここでいう文化はこんな感じの軽い認識です。具体的な事例を項目に分けて説明したいと思います。

羊レシピ本が登場

2019年に2冊の本が出ました。

『羊料理世界のレシピ135品と焼く技術、さばく技術、解体』(柴田書店)
『家庭で作るおいしい羊肉料理』(講談社)

ここ10年で羊のレシピ本は出版されていません。それは、羊肉が一般的な食材ではないからです。つまり2019年に2冊出たということは、家庭や店で羊料理を作るという基盤ができたということでもあります。

首都圏の主なスーパーでの取り扱い開始

以前まで、スーパーではあまり羊の取り扱いはありませんでした。しかし、今は首都圏展開の多くのスーパーで羊肉の取り扱いがあります。羊肉に抵抗のない海外の人が増えたことも一因かと思いますが、消費者の間で需要があるからそうなっているわけで、伊達や酔狂で量販店は取り扱っているわけではありません。この流れは2017年のイオンリテールの「第4の肉「ラム肉」売場を2~3倍に拡大」リリースから加速した気がしています。また、首都圏のスーパーより徐々に地方のスーパーにも広がっていっている気がします。

雑誌で2本特集が同時に組まれる。

2020年3月の話となりますが、料理王国では巻頭特集。エル・グルメではセカンド扱いですが特集と、同じ月に2つの雑誌が羊特集を組みました。これは2年前のdancyuで羊肉が特集されたのに続く快挙かと思います。以前は羊の特集はめったになかったのですが、ここ最近は特集になったり記事になったりすることが増えてきました。

サイゼリヤでラム肉が爆発的人気

2019年末より話題を席巻したサイゼリヤのラム肉。全国的に販売されたアロスティチーニ(羊串)が売れすぎて品切れが続出し、材料の羊肉も枯渇し販売中止になるという事象が起こりました。何がすごいかと言うと低価格帯のチェーン店で羊肉が受け入れられたことです。これは一部の羊好きが集っただけでは到底不可能なことで、一般の方たちが羊肉をチョイスし、美味いと思い拡散していった結果です。

少数店舗でテスト販売→全店舗に波及→グランドメニュー入り

と。今ではグランドメニューでいつでも食べれますし、クリスマスではラムシャンク、夏はBBQとサイゼリアのラム愛が止まらない状況となっています。

そして、添付のスパイスが好評で家でそのスパイスを再現し羊串を作りInstagramにUPするような流れにもなりました。菊池が所属する羊齧協会が推薦している羊専用スパイス羊名人もこの流れに合わせて販売数を伸ばしたようです。つまり「マニアック食材」から「普通の食材」として羊肉が受け入れられた瞬間で、この後様々な業種が羊肉に注目し始めた大きなきっかけになり、一気に一般化し食文化の一つとしての定着が進むか!と期待された時でしたが、コロナ騒動が起こり停滞してしまいました……。

▲家庭向け羊肉調味料「羊名人(https://80c.jp/restaurant/20141102-315.html)」

このように、日本の羊肉は「もともと日本になかった」ということもありその他の食材と違い国の都合や企業の都合などに振り回され続けてきました。そして、羊が本格的に飼われ始めた明治初期から150年近くたち、団体の都合で振り回されていた羊肉が、羊好きな人達の力で家庭に入りはじめたことは非常に感慨深いです。

そして、コロナで最初は足踏みしていた羊肉ですが、コロナに負けず羊専門の新店舗が次々と登場しています。とくに、ジンギスカンはココイチが北海道のジンギスカン屋を買収し多店舗展開を狙う(2021年1月)ニュースが流れるなど、今後の進化から目が離せません。

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